この記事は
投資信託の中身(債券、株式、リート等)についてもっと知りたい!
という方に読んでいただきたい記事です。
今回は債券型の投資信託にスポットを当て、「債券とは何なのか」「債券型の投資信託を選ぶ上での注意点」について解説していきます。
この記事の権威性
私は10年以上投資信託販売に従事している、現役の金融商品営業マンです。
ファイナンシャルプランナー資格保有。
過去に担当したいお客様は累計1,000人以上。
中には法人のお客様もいらっしゃいます。
一度に数百万円の利益を出していただいたこともあります。
現在後輩への販売指導も行っている、私ケヤが解説していきます。
債券って何?
債券は国や地方公共団体、法人が発行する資金調達の手段でつまりそれぞれの発行体の「借金」です。
なので、定期的(主に3か月や6か月に1度)に金利の支払いがあります。
これを「利金」と呼びます。
発行時点で利金の金利は決まっており、償還(返済)されるまで一定の利金の支払いがあります。
この債券が市場で取引されるわけです。
どんな時に価格が変動する?
世の中の金利が低い時、市場に出ている債券の方が金利が高ければ、債券の価格は上昇します。
また株式相場が下落しそうな時は、安全資産として債券が買われるためこの場合も債券価格は上昇します。
“将来的に債券が買われる”と投資家が予測した場合も、債券が買われることになりますので価格が上昇します。
金利と格付の関係性
投資信託の場合、複数の債券を同時に保有することになるため、主に「平均直利」というカタチで利金の平均金利が開示されています。
また、それぞれの発行体は格付会社による格付がされており、S&P(スタンダード&プアーズ)やMoody’s(ムーディーズ)の格付が利用されることが多いです。
ちなみに日本の格付は「A-(シングルエーマイナス」、アメリカやオーストラリアは「AAA」となっています。
AAA~BBBまでの格付の債券を「投資適格債券」、BB以下の債券を「ハイ・イールド債」と分類します。
当然ですが、格付の高い発行体ほど金利は低く、逆に格付が低い債券は高い金利が見込める代わりに償還されない(デフォルト)リスクが高くなります。
投資信託でハイ・イールド債が扱われる場合、分散する銘柄数を増やすことでリスク分散を図る仕組みが取られていることが多いですね。
債券型投資信託を選ぶ上での注意点
債券型投資信託を選ぶ上で注意すべきポイントが3点あります。
それぞれについて解説していきます。
分配金利回りと平均直利の差が開き過ぎていないものを選ぶ
これについては過去の記事に詳細を書いています。
「分配金利回り」とは年間の分配金を基準価額で割ったもので、過去にはこの大きさを売りにする投資信託が多く出回っていました。
しかしその投資信託が実際に支払うことのできる実力を示す「平均直利」が分配金利回りに見合っていない場合、資産を徐々に取り崩していくことになります。
分配金を長く受け取って行きたいのであれば、分配金利回りと平均直利の差が小さいものを選ぶ必要があるのです。
発行体の将来性
債券型投資信託の場合、主に発行体の将来性をもとに運用対象が決められている商品があります。
リーマンショック後、先進国の金利が低下する中では新興国や資源国の将来の発展期待と魅力的な利回りから、多くの新興国・資源国債券ファンドが作られました。
トランプ政権が発足する前には、アメリカの好景気を背景に隣接するカナダやメキシコが注目されました。

その後はアメリカファーストを掲げたトランプ政権下、
「アメリカに投資しておけば間違いない。」
と考える投資家が増えたことでアメリカにお金が集まりました。
また、ここ10年近く続く株高を背景に、新興国・資源国やカナダ、メキシコの債券価格は軒並み下落しました。
将来性で買うなら債券ではなく株式を買うべきです。
市場金利はその国の物価上昇率をもとに決められているため、将来的に国が発展し、物価が安定してくると、債券の金利も低下してきます。
また物価の上昇率が高い国の通貨は、価値もそれに合わせて目減りしますからせっかく金利が高くても通貨安となってしまい、帳消しになってしまいます。
長期的に金利収入で増やしていく債券型投資信託の場合、発行体の将来性は銘柄選びに適した指標とは言えないのです。
必要な利回りが確保されているか
「リスクを取りたくない」
気持ちは十分わかります。
ですが、現在日本が目標とする物価上昇率(インフレ目標)は2%です。
仮にインフレ目標通り2%ずつ物価が上昇するとします。
すると、今貯めているお金は数字の上では減っていなくても、
10年後には2割、価値が目減りしてしまいます。
すべての預貯金を投資にまわすことは出来ませんから、
今あるお金の価値を守ろうとするだけでも、最低でも5%くらいは金利が欲しくなります。
したがって、債券型投資信託を選ぶにあたって「必要な利回りが確保されているか」を考える必要が出てきます。
現在のアメリカ10年債利回りは約1.2%。
価値が減るスピードを抑えることは出来ますが、これでは価値を守るには足りませんね。
注目したい債券ファンド
- ハイ・イールド債…低格付・高利回りの債券。主に社債。投資信託では徹底分散されておりリスクを抑えて運用できる。利回り6%程度。
- CB(転換社債型新株予約権付社債)…株価上昇局面では株の動き、株価下落局面では債券の動きに。債券の金利よりも株の値上がり益で利回りを確保する。
- バンクローン…債券とは異なり、担保付の銀行借入を証券化したもの。変動金利のため、コロナ収束時の金利上昇時にも強い立ち回りが期待できる。
上記に挙げたような商品とアメリカ国債を組み合わせることで、リスク分散を図りつつ利回りの上昇が期待できます。
まとめ:今後、株価下落のリスク分散のために買っておきたい
今回は債券型投資信託の選び方について解説してきました。
債券型投資信託だけで利回りを確保するのは正直難しいところがありますが、
株式と組み合わせることでより安定したポートフォリオを構築することができます。
この10年は株式が優勢の時代でしたが、短期的にはコロナ収束に伴う金融緩和の縮小で一時的に株価が大きく下落する可能性が考えられます。
株価下落のリスク分散手段として、債券型投資信託をポートフォリオに組み入れてみてはいかがでしょうか。

銘柄選び、手伝います。希望の方はTwitterへDMをお願いします。
コメント